ずっと大好き…この恋は秘密 …



日に日にクリスマスムードが増していく。


教室でも彼氏のプレゼントのマフラーなんかを編む子も結構いる。


「なんかムカつく」


そんな子達に毒気づく里奈の言葉にみのりが笑った。


「あと一週間だしね。

みんな勝負かけてるんだよ」


笑顔で言うみのりに…


里奈が口を開く。



「…みのりは勝負かけないの?」


里奈の言葉にみのりが言葉を失った。




「みのりに言ってなかったけど…

あたし浅井さんと教習一回だけ一緒になった」




驚きからか…

黙ったままのみのりに里奈が続ける。



「『佐倉、元気?』って…

つらそうな顔して聞かれた。


もしかしたら浅井さんもみのりの事…」




こぼれ落ちたみのりの涙が

里奈の言葉を止めた。



「あ…ごめん」


みのりが慌てて涙を拭く。


「…ごめん、余計な事言った?」


里奈の言葉にみのりが首を振る。



「浅井さんが…

あたしが元気かどうか気にしてくれてた…



それがうれしくて…」



小さな声で言ったみのりの目にまた涙が浮かぶ。



そんなみのりの様子を見て里奈が悲しそうに微笑んだ。



「…ちゃんと言いなよ。

浅井さんに。

ちゃんとまだ好きだって伝えなよ」




みのりは黙ったまま…


何も答えなかった。








『浅井さんに会いたい』

その想いだけが日に日に大きくなる。



だけど…


もし会っちゃったら…



また立ち直るまで時間がかかる。





今だって…

本当はまだ立ち直れてないのに…







会いたいのに…




会うのが恐い…












浅井さんに


もう一度サヨナラされるのが…










恐い…











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