ずっと大好き…この恋は秘密 …



『もしもし?』


ケータイの向こうから沙紀の声が聞こえる。


「オレ」


浅井が冷たい声を出した。


『何?

そろそろ帰ってこいとか?』


沙紀がちゃかすような事を言っても
浅井は冷静を保ったまま口を開いた。



「離婚してほしいんだ」


『…何度も言ってるじゃない。

離婚ならしない』


沙紀の言葉を聞いて浅井が話を切り出した。


「…じゃあ仕方ないよな。

近いうちに弁護士事務所にでも行ってきて協議離婚の手続きとってくるから」


電話の向こうで沙紀が言葉を失う。


「一応報告しておかなきゃマズいかと思って…

話はそれだけだから」


『待ってっ…』


電話を切ろうとした浅井を沙紀が止めた。


『本気…?』


明らかに動揺している沙紀に浅井が落ち着いた声で話す。


「あぁ」


『なんで…?

今まで離婚なんて言った事なかったじゃないっ』


「…また詳しい事が決まったら連絡するから」


浅井が一方的に電話を切った。


少しだけ胸が痛んだが…

いつもとは違ってあまり気にならなかった。






…悪いけど


オレが守りたいのは沙紀じゃない。




大切に思ってるのは…


好きだと思うのは…


隣で笑ってて欲しいのは…


抱きしめたいと思うのは…





愛してるのは…





佐倉だけなんだ。





沙紀じゃない。




佐倉を他の男に渡したくないから…




オレが幸せにしてやりたいから








だから


沙紀とは別れる。










オレが佐倉と一緒にいたいから。












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