ずっと大好き…この恋は秘密 …


『なんか夫婦みたいだね』


思わず言いそうになってしまった言葉を隠した。



「やっぱ大晦日はそばだろ」


浅井の提案でスーパーに寄って材料を買う事になって…


カゴを持つ浅井の隣で笑いながら

そんな事を思った。



『夫婦』


なんとなく禁句な気がした。



「…バイトで疲れた?」


急に大人しくなったみのりを浅井が気遣う。


心配そうに見ている浅井にみのりが笑顔を返す。


「ううん。

でもいいなぁ、浅井さん7日までお休みでしょ?」


「おまえなんか2週間も休みだろ(笑)」


レジを待ちながら浅井が言う。




普通のスーパーで買い物カゴなんか持ってるのに…


なんで全部かっこよく見えちゃうのかな…


『恋は盲目』ってこうゆう事?


浅井さん以外…

目に入らない。



「明日以外バイト入ってるんだもん」



顔をあげた浅井と目があって
みのりは店の外に視線を移す。


そして

白い棉みたいな雪がチラチラと落ちてきていることに気づいた。


「あっ…

浅井さん、雪降ってる!」


「え?あぁ…

面倒くせぇな」


ノリの悪い浅井にみのりが口を尖らせる。


「…んな顔すんな(笑)

積もると運転すんのが大変なんだよ。


あ…でもたまにはいっか」


急に明るく言った浅井を
みのりが不思議そうに見上げた。


そんなみのりの耳元で

浅井がニヤリと笑いながら囁く。


「雪が溶けるまでおまえ帰さなくていいんだろ?」


赤くなって俯くみのりを

浅井が満足気な笑みを浮かべて見ていた。





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