ずっと大好き…この恋は秘密 …

着信履歴




窓からまた南風が入ってきて…

みのりの頬をなでる。




窓に近づくと夏の青空が広がっていた。


「…いい天気」



みのりがぽつんと呟く。


狭い窓から見上げる青空は
吸い込まれそうなほど広かった。







あたし…



振られたんだ…




こんないい天気なのに…







ケータイを見ると

右上の小さなデジタル時計が
13時2分を示していた。





…教習始まってる





この青空の下で
浅井が誰かの隣で教習してると思うと

空からなかなか目が離せなかった。







…あたし


振られたんだ…







何度思っても実感がわかない。












トイレから出ると
少し離れた廊下に祐の姿があった。



みのりに気づいた祐が微笑む。





「ごめんね、待たせて…」



みのりが祐に駆け寄り
声をかけた。



「ううん、大丈夫だよ」



何も聞かない祐に…

みのりが少しうつむきながら切り出した。



「祐ちゃん…


浅井さん、結婚してた」



祐は一瞬、びっくりして…


でもまた微笑んだ。



「そっか…」




何も言わないのに

暖かい雰囲気がその場を包んでいて…




祐が慰めてくれている気がして…




みのりも何も言わずに

2人で廊下から見える空を眺めた。




青い青い空が



眩しかった。





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