僕の好きなヒト
一章
足りない思い
「先生……僕、本気ですよ。」
静かな僕達の空間には、僕と…先生、の吐息しか聞こえない。
チラリと一瞬だけキレイな瞳を僕に向け、また視線を画面に写した。
まるで拍子抜けしたような滑稽な表情にも僕の心は踊ってしまう。
でも、またすぐに大人の瞳に戻ってしまう。
「有岡くんは、あたしをからかってるのかしら?」
そしてこんなセリフを吐く。
もう何回聞いたことだか…。
本気だと言うセリフを信じようともしない先生に、また落第した。