『縛』
 

私が、そんな願から
程遠い場所にいる事は
確かなようだ。

悲しいと思うのに、
涙すらでない。


また、今回も一緒か・・・

そんな冷めた思いが
体温がさがる程に
気持ちを支配した。


身支度を整えて、
早々に志央の部屋を
後にする。


『サラ、心まで
乾かない様にしなさい。

心が砂漠みたいに
カラカラにならない様に、
自分をいたわりなさい。』


実の両親より、
遥かに私を大切にしてくれた
担任教師夫妻の言葉を
思い出す。


私は、本当に
変われないんだろうか?


愛されないのだろうか?

愛せないのだろうか?



結局
考えたところで
何も変わりそうにない
自分自身にも

掴みどころのない
志央に対しても



ため息が零れた。







 

 
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