『縛』
「ああ、そういえば、
随分前に、山本君が
デビューするって噂、
同窓会で聞いたんだ。

あれって、
カルディナだったんだね。」

「そう、そう。」

「じゃあ、日向コウジととか、
マイケル元田と一緒なんだ。
うらやましいな。
よく、聴いたんだよね。」


サラと山本の近況を含む
世間話は、そんな言葉で、
幕を閉じた。


なんか、ムカつく。


An-s世代って、
いつもこんな感じだ。


「ところで、志央とサラって、
何処で出会ったわけ?」


根本的な質問が、
山本からとぶ。

「昨日、アクアリウムで偶然。
今日は、音源探しにいって
偶然。」

簡潔に答えた。

「すっごい、偶然よねえ・・・

昨日から、志央、
ウルサかったんだよ。」

料理を運んできた
美穂の合いの手が、加わる。

「うるせー。おまえ、
サラの手伝いしてこいよ。」

食事時になったから、何か
デリバリーでも取ろうって事から、
話が跳躍して、待ってる間、
数品、サラが酒の肴を
造ってくれる事になったのだ。


「もう、終わったよ。
作り方も、教えてもらった。」


美穂が、満面の笑みで言った。


 

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