愛は要らない


「じゃあ、行こうか。父さんたちは、もう会場に向かっているからね」


差し出された手を握り返して、綾野は車に乗り込む


「それが、昨日着せられたっていう、ドレス?」

「えぇ・・・。こんな機会がなければ、こんな色、着たりしなかったでしょうね」


サーモンピンクのドレスを、複雑そうな表情で見つめる綾野


「サーモンピンク。僕の好きな色だね」

「そう・・・」


車が止まって、運転手がドアを開ける


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