愛は要らない
「気持ちは嬉しいんですけど、つわりがひどくて・・・・・・うぷっ」
顔を逸らしながら、綾野は吐き気に耐える
「おっと。すまん、すまん。どれ、わしが持とう」
「すみません・・・」
口をおさえて、綾野は丈之助に謝る
「構わん。わしがまさか、ひ孫を抱くことになるとはな・・・」
諦めていたらしい丈之助は、楽しそうに笑っている
「そう言えば、遥に会わなくて良かったんですか?」
「バカ孫は良い。生まれた赤ん坊が、遥に似ないことを祈るばかりだな」