愛は要らない


過ぎ去る景色が、スローに見える

泣きたくなる

否、それよりも何かに八つ当たりしたい


「坊っちゃん、着きました」

「すまないッ」


急いで車を出て、遥は寝室へと向かう


───────バンッ


勢いよく、寝室のドアを開ける


「いない・・・」


クローゼットを開ければ、綾野の服や私物がなくなっている

引き出しの中には、封筒が1つ


「・・・・・・・離婚届」


綾野の名前が書かれて、あとは遥の名前が足りないだけ


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