愛は要らない


「・・・・・・貴方は、恵まれてるよね?」

「ん?まぁね。王子様みたいだ、って学生の頃は言われたよ?」


楽しげに語る遥


「でも、幸せそうには見えないわ」

「・・・・・・・・・・・・」


遥の笑い声と動きが、ピタリと止まった


「・・・そんなことを言われたのは、初めてだなぁ」


再び笑い出したが、力がない

綾野は箸を置いて、遥を見据える


「お金も、将来性も、容姿も優れて、周りから見れば勝ち組に見えるのに、貴方の内面は満たされていない」


< 54 / 331 >

この作品をシェア

pagetop