愛は要らない
「・・・・・・貴方は、恵まれてるよね?」
「ん?まぁね。王子様みたいだ、って学生の頃は言われたよ?」
楽しげに語る遥
「でも、幸せそうには見えないわ」
「・・・・・・・・・・・・」
遥の笑い声と動きが、ピタリと止まった
「・・・そんなことを言われたのは、初めてだなぁ」
再び笑い出したが、力がない
綾野は箸を置いて、遥を見据える
「お金も、将来性も、容姿も優れて、周りから見れば勝ち組に見えるのに、貴方の内面は満たされていない」