愛は要らない
舞子を見送り、綾野は本を手に取る
「・・・・・・・・・・・・」
しかし、すぐに本を閉じて考え込む
「さすがに、外泊が多いと、問題か・・・」
ため息をついて、綾野は枕元の電気を消した
その日、遥の元には来客が訪れていた
落ち着いた着物が良く似合う、和美人
「先輩、あの人誰ですか?」
後輩の秘書が、スケジュールを確認している結子の耳元で囁く
「篠宮 薫子さんよ。専務が、綾野さんと出会う以前に、縁談の話があった方」