愛は要らない
携帯に手を伸ばし、梨華にメールを打つ
「僕だけ恋をしているのは、忍びないな」
「貴方が恋をしていたなんて、初耳です。じゃあ、日曜、私は出掛けます。奥様にも言っておかないと・・・」
ベッドに腰掛けながら、綾野は呟く
「夫の僕より、義理の母を気にするなんて、薄情な奥さんだね」
泣き真似をする遥を、綾野は呆れた目で見返す
「傷つくなあ、その目」
笑う遥は、傷ついているようには見えない
「さて、お風呂にでも行ってくるよ」