愛は要らない


「いいよ。また誘うから。じゃね!」


手を振って、綾野は梨華を見送った


「・・・・・・・・・・・・」


1人立ち尽くして、指輪を見てみる

ぴったりとサイズのあった指輪

これ1つで、既婚者だと一目で分かる


(【人妻】の証、ってところね・・・)


再び顔を上げれば、見慣れた車が視界に入った


「やぁ。急なことで、悪いと思ってるよ」


笑う遥を見て、綾野は小さくため息を漏らした


「・・・行きましょう」


車に乗り込んで、綾野は指輪のことを頭から追い出した


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