逢瀬を重ね、君を愛す

「…わーかったよ」

「え?」


扇を取り出し、立ち上がる。


「連れてってやる。」

「まじでえええええええええええ!」


自分で言っといて驚く彩音も立ち上がる。


「ありがとうううううううう」

「うぅ…!!!!!」


ガバアっと抱き着いてきた彩音に思わず声が漏れる。


「恥じらい持てよ!!!!」


慌てて彩音を突き放すと、彩音から不満な声が聞こえてくる。
彩音の方を向かず、早急に踵を返す。


「…じゃあ夜迎えにくるから、準備しとけよ!」


「はーい!」


元気な声を背中に受けながら清雅は速足に部屋を後にする。



「なんだよ…不意打ちなんだよ、くそっ」


扇の下の赤い顔を隠しながら、荒々しく廊下を歩いて行った。
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