ビターチョコレート
何かを目にし、立ち止まる。


「あれ…?」


あれは、慎一さん?
で、その隣は…奈々恵さん?


なんで、二人が…?


私は木の陰に隠れ、二人を見つめていた。
なんだか…仲良さそうな雰囲気…?と、私がアワアワとしてると、慎一さんがこちらに気付いた。


「…何してんねん」


う!覗き趣味だと思われたかな…。
奈々恵さんはもう、その場にはいなかった。


「だって…」


私がシュンとなると、慎一さんはデコピンをしてきた。


「いた…」


私がオデコを押さえると、慎一さんは言った。


「言ったやろ?俺がなんとかするって。そんな顔すんな」


そ、そっか…。
慎一さんは、お見合い解消の為に…。


「なんや?俺が浮気してるとでも思ったか?」


慎一さんはそう言って笑った。


「お、思ってませんよっ!!」


私は首を振った。
慎一さんは笑って、歩き出した。


「慎一さん…」


私は慎一さんの腕の裾を掴み、ゆうちゃんの事を言おうとした。


「ん?」


でも…慎一さんの顔を見たら、何故か、言えなくなってしまった。


「なんでも…ないです」


“俺がなんとかする”慎一さんは…そう言ってくれた。
私も…出来る事は、自分で解決しなきゃ。


私は、そう思った。
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