ビターチョコレート
それから、三日が経った。


「35.8度…」


風邪はひいていない。


「ちぇー…。風邪ひいたら慎一さんに看病してもらおーと思ってたのにー」


幸い、うつらなかったらしい。
慎一さんも風邪が治り、来週の日曜日はデートの約束をしている。


今週の日曜日…今日は、予定が無い。


「そうだ!来週どんな服着て行くか考えよーっと!」


クローゼットと、洋服タンスを開けて服を出していると、部屋のドアがノックされた。


「はーい?どうぞ?」


入ってきたのは、お父様だった。


「あれ?お父様、今日お仕事は…」


私がそう言うと、お父様はコホン、と咳を一回した。


「ああ…休みだよ。それより…出掛けるから、準備をしなさい。」


「へ…どこに?」


「行けば分かる。…おーい!持ってきてくれ!」


…な、なにを?私が頭にハテナマークを飛ばしていると、お手伝いさんが着物を持ってきた。


「え…えええ!?」


私は、何も分からず、ただ、されるがままだった。
着物の着付けが終わると、ヘアメイクに化粧。それが終わると車に放り込まれた。


「ど…どこ行くんですか?」


聞いても、お父様はただ黙りこむだけ。


車が停止すると、車を降りるようにと言われ、車を降りた。
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