愛の楔



今なら、まだ間に合う。
だから嘘だと言ってくれ。
これこそが芝居だと………


しかし、虚しくも俺の思いは無惨に散った。


「そうだよ」


信じたくなかった。
昨日見てしまった美空のパソコン。
それに送信されてきた一通のメール。


【お前の役目はもうすぐ終りだ。準備しておけ】


たったそれだけの内容に、俺は、胸騒ぎが止まらずパソコンを調べた。
いつも大事に扱っていたパソコン。てっきり勉強のためにだと思っていたが、実は違ったのだ。


パソコンの中身は学業には関係のないものばかり。そしてその中には、偽の取引情報のデータもあったのだ。


まさか、と思った。


きっと何かの間違い、夢なんだと信じられなくて俺は、そのままパソコンを閉じてしまった。


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