愛の楔



一週間はあっという間だった。
気づけば、今日は美空の退院する日。


「退院、おめでとう」

「ありがとう」


すっかり元気になった美空は左手の包帯も取れ笑顔一杯だ。
しかし左手は包帯が外れたものの、痛々しい傷跡が残っている。それは一生残るかもしれないとの事だった。


「もう少し、早くてもよかったんじゃない?」


美空の一歩後ろで荷物を持ちながら嫌みを言ってくる澪に美空は頬を膨らませた。


「それ、どういう意味?」

「さぁね」


自分の頭で考えたら、と鼻で笑う澪の鳩尾辺りを美空は握りこぶしを入れた。


まさか反撃されるとは思ってもいなかった澪は、うっと前のめりになった。


「っ……中々の拳だね……」

「澪のバーカ」


べえっと舌を出す美空は本当に17歳には見えない、12歳の美空だった。


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