薔薇とアリスと2人の王子

act3 白雪姫



3.

「すごく大事なことを忘れていたわ」

 アリスが言った。

「なんだい?」

 これはカール。
 それにアリスは少し大きな声ではっきりとこう言った。

「あんた達が、何の星から来たのかって聞こうと思ってたのよ!」
「何の星って?」

 そういえば兄弟2人は“ある星”から来た、ってことだった。
 アリスは兄弟の事を全然知らない。年齢ぐらいしかね。

「薔薇を5年間守って、王様になれる星って興味あるわ」

 アリスはしばらく二人の出身を聞き出そうとしたけど、2人はどうしたって答えてくれない。はぐらかされちゃうんだ。
 何だか納得いかなかったけど二人は仮にも王子という身分なのだし、隠したい事でもあるのだろう。
 そう思う事にして聞くのを放棄してしまったよ。
 あまり粘っても答えてくれないのは明らかだったんでね。

「……そういえば、僕らってよく迷子になりますね。兄さん」
「森に縁があると言え」
「やっぱり馬鹿兄弟だわ、あんた達! 2人揃って方向音痴! 役立たずー!」

 今、3人はミュールミューレの国を出た矢先に、森で迷子になっていたんだ。

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