薔薇とアリスと2人の王子

「約束したよね~? 子供たくさん作るって。わたしの王子様はハンスだけだから……」

 シャルロッテは林檎を口にすると、一瞬アリス達のほうに視線を向けてから――ハンスの上に覆い被さる様にして倒れた。
 それとほぼ同時にお妃様も床に倒れる。
 お妃様の両足はすっかり焼け爛れていて、お妃様が“踊った”血の跡がひどい有様だった。

 お妃様の悲鳴とシャルロッテの笑い声が響いていた部屋が静寂に包まれる。

「……シャルロッテ、死んでしまったの?」

 アリスが呟く。

「いや、昏睡状態だろう。愛する王子様がキスすれば起きる……」

 カールがそう言ったけど、もうシャルロッテは目覚めないことを3人は分かっていた。
 だって、白雪姫の愛する王子様は死んでしまったから。

 シャルロッテの小さな手から毒林檎が落ちて部屋の隅まで転がっていく。
 美しい少女の瞳は二度と開かなかった。


 めでたし、めでたし。


to be continue...
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