ファーストキスは蜜の味。-ver.Ⅱ-

こんなにイイ天気なのに、あたしは狭い空間に閉じ込められてます。


そばにはボサボサ頭でフチ眼鏡をしてる、いかにも冴えない男が、眼鏡のズレを直す。


何度もかけ直しながら、猫背気味の体で机のまわりを縫うように歩く。




手には、あたしを殴った凶器の教科書。




「――があるので、ここの答えは三が正解です」

「なるほどねぇー」

「羽深っち、教え方ウマイじゃんっ」

「僕はセンセイですよ」


なんて掛け合いをしながら、へへへ、とだらしなく笑う。



あたしは赤点組と一緒に、羽深センセイこと恭兄の補習をうけてる最中デス。



なんで補習かって?



それはあたしが見事、赤点を二個もとったからデス!!



えっへん。


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