あなたが好きなはずなのに
「あいつ・・・俺にお土産無かったな。」



ボソッと言う隆志。



「あっ・・・本当だね。」


「食い逃げだな。」


「あはは。」


「花音へのお土産買うのに必死だったのかな?」


「えっ?」


「いや、なんでもない。さて、俺たちも帰るか。」


「うん。」



私は聞こえたけれど、聞こえないフリをした。


隆志は私の手を再度握る。


さっきより、ぎゅっと隆力をこめて握る隆志。


こうして、私たちは走ることなくゆっくり家に向かって歩いたのだった。



< 19 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop