あなたが好きなはずなのに

現れた彼女

階段の音に気が付いたのか、都子さんは私たちの方を見上げた。



「隆志！」


嬉しそうに隆志の名前を呼ぶ都子さん。



「都子・・・？」


都子さんは、私に見せ付けるかのように、隆志に飛びつく。


そして隆志は、その勢いで私の手をスッと離し、都子さんを受け入れた。


さっきまで私の手を握っていた手は、都子さんの背中をトントンと叩く。



「どうした？都子？」


私はその隆志の優しい言葉に思わず一歩下がった。


何で？何でそんなに優しそうな目で見つめるの？


隆志・・・私、手が淋しいよ。


私は離された手を、もう一方の手で力をこめて握り締めた。



「隆志ずっと待っていたのぉ！逢いたかったぁ！」


都子さんは甘えた声で隆志を見上げる。


やめて！隆志は私の彼氏なの！


そんな手で・・・隆志を触らないで！


都子さんは隆志をギュッと抱きしめながら愛おしそうに見つめる。


私は２人を見ていられなかった。