君に届きますように【詩集】

・白いシーツ


本日は晴天

洗濯物が風に揺れ
柔軟剤の淡いにおい

「おじいさん」

いい天気
眠りを妨げる
優しい声があった

「今日もいい天気ですよ」

誰の声だったか
儂はもう
忘れているのかもしれない


こいつと
儂だけの広い家
ひんやりとした
古い畳部屋


白いシーツが
風に乗る

こいつが追いかけて
シーツとじゃれる

またドロドロの白いシーツ


目が覚めて
いつもの散歩

君らと出会った
遊ぶ道


ひとりベンチに
腰を落として

白いシーツの夢を見る
あの白いシーツ

優しい女性の
優しい声


君が
儂の手に触れる

「今日はすごく
いい天気だね」

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