セツナイロ


あたしの肩に置かれた手は、いつの間にか頭の上にあった。

「ったく、無理すんなよな。」


そう言って微笑みながらポンポンと優しく撫でた。



この優しさが、温もりが嬉しかった筈なのに…

「ユズの友達も心配してたんだ。

良かったよ結構元気そ「いい加減にして!」

叫んで振り払った。

周りの人達の好奇の視線が集まる。


そんな痛い視線の中で、あたしはもう一度叫んだ。



「っ…いい加減にっ……してよ…!」

本当はユウくんの優しさが嬉しかったのに、あたしはその感情を受け入れる事が出来なかった。

もし、ここで自分の感情を認めたなら、あたしは弱い人間のように思えたから。


少しだけでも、強く見せたい。
そんなあたしのちっぽけなプライド。

きっと甘えちゃいけない。
ちっぽけな意地。



あたしはたまらず駆け出した。

ユウくんに涙を見せないように、ユウくんに背を向けて。




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