【長編】好きって言って
家に着くと、オレは真っ先に兄貴の部屋に向かった。
バンと、ノックもせずに開くと、兄貴はボーっとベッドに座っていた。
「……っち」
その兄貴の様子を見て、オレは舌打ちしてズカズカと部屋に入った。
そして兄貴の胸座を掴んだ。
「なぁ……。芽衣が学校来てねえんだけど」
怒りを抑えて質問をすると、ゆっくりと兄貴はオレを見上げた。
そしてまた視線を下に向けると、小さく呟いた。
「……俺に聞くなよ」
ムカ。
他人のように言う兄貴を見て、オレは胸座を掴む力を強くした。
「兄貴以外に他に理由があんのかよ?」
兄貴以外に……芽衣が学校来なくなる理由があるのかよ?
すると兄貴はオレを無表情で見つめた。