ノブレス・オブリージュ

とある書




かつて世界は一つだった。


四季があった。



しかし、人間同士の欲望による醜い争いが始まった。
頂点を決める諍いが起こった。



それを天上から見ていた神々は人間の愚かさを呪い、世界を4つの国に分け、四季さえも4つに分けた。更に、他の国に干渉出来ぬように国々の間には、果てしなく広がる砂漠を置いて、それに順応出来る、賢い人間が必然的に生き残るようにー…神は試練を与えた。







冬。


生き残った賢者たちは、それぞれの気候に適した国を作り上げた。それにより、人々は生き続けることが可能になった。
そのとき、人々は思い知ったのだ。争いは起こしてはならない、けして神々を怒らせてはならないと。





そして賢者達はそれをけして忘れぬように、呪いをかけた。
春夏秋冬の賢者1人ずつに。

彼らはそれらたちを《ヴェーダ》と名付けた。
知識の器である。
彼らの役目は、本来あるべき世界の姿を後世へと継ぐこと。
そしてもう一つー。







さて、
今現在それを知る者は少ない。
いつの間にか、広大な砂漠のせいで国を出たいと思う者はいなくなったのだ。





そういう私もヴェーダの1人である。
こういった文章など残してはいけないのであろうが、これからのヴェーダたちに私達のような負担を掛けたくはないのだ。

この文献は、各国王に渡そうと思う。是非、これが役立つことを祈っている。


それでは、
身の回りの整頓を終えたら、神々のご機嫌取りに向かおう。
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