恋せよ乙女

「…っ!いってーな!お前のパンチ本気で痛いんだから、少しは加減しやがれ馬鹿野郎…!」

「煩い黙れ馬鹿隼人。
昨日は少し看病してきただけですー。
やましいことは何にもありませんからー。
隼人こそ家が隣だからって、あたしを監視するようなことやめてくださいー。マジ、プライバシーの侵害で訴えるわよ。」

「……はいはいはい、もうわかった。
俺の勘違い、俺が悪かったってことな。」

「そーゆーこと。」


結局、こういうくだらない喧嘩はいつも隼人の方が折れる。
でも潔く折れてくれるなら、最初から喧嘩なんかしなきゃいいのに、と思うのもいつものことで。


「キミ達、朝から随分騒々しいね。」


そして2人再び歩き出した刹那、前方から不意にかけられた声にドキッと鼓動が高なるのを感じた。

だって、間違いなくこの声、あの姿は―…


「氷室さんっ!」


愛しい彼のものだから。
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