恋せよ乙女

┣*手の届く距離


氷室さんに告白的なものをされてから、もはや一週間が経とうとしている。

けれど肝心なあたしたちはといえば、その告白の前後で特に何ら変わったりはしていない。

あたしはあたしで性懲りもなくアタックを続けているし、氷室さんは氷室さんで、そんなあたしを呆れたように……否、彼も少しずつあたしと向き合ってくれるようになったのは、認めざるを得ないかな。

でもあたしたちの関係の変化、それ以上に。
周囲の「うっそ〜!?」だの「信じらんない!」だの、そういった反応の方が凄かった。

現にほら、今だって。


「それにしてもあたし、未だに信じらんないんだよねえ。」


いつのまにか、学校祭まで二週間と迫っていた我が学校。そのことを、全く忘れていたあたしもどうかと思うけれど。

放課後、残って学祭の準備を一緒にしていた世奈が、あまりにも唐突にそう言い放つ。
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