恋せよ乙女

┗*大切なキミへ(おまけ)


鈴木さんと和解してから、もうすぐ一ヶ月が経つ。あの日から本当に鈴木さんからあたし達への干渉は無くなり、今現在、多少のぎこちなさは残るものの、大きな問題は生じていない。

……まぁ、あたしの判断に、世奈も隼人も呆れていたのは確かだけれど。

そして夏休み真っ只中の今日、あたしは 珍 し く 氷室さんからデートに誘われた…否、呼び出しを受けた。

夏休みが始まったと同時に開講される夏期講習やら何やらで、めっきり顔を合わせる機会も時間も無かったあたしにとって、これ以上ない幸せで。

デートでもただの呼び出しだとしても、会えるなら何でもいいと思ってしまうあたしは、やっぱり氷室さんが揶揄するように単純なのだろう。

朝からウキウキ気分で講習を終え、颯爽と教室を飛び出す。間際、あたしが氷室さんと待ち合わせしていることを知っている世奈から冷ややかな視線を頂戴したけれど、気にすることなく小さく手を振った。
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