【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜
「おっしゃ!!じゃあ柔軟付き合ってよ」


念入りに準備運動をして、きっちり柔軟も済ませた。

試合前だから、特に完璧に。


「アイボン少しキャッチボールしねぇ?」


アイボン相手に本気で投げるわけにはいかねぇけど、最初の軽いキャッチボールぐらいならできるし。

つか、して欲しい。




「い、いきますよっ」


アイボンね、意外といい球投げるんだ。

真っ直ぐ俺の胸元に飛んでくるし。


「ナイスロー!!」


今まで何万球も、何億球もボールを投げてきた。

この野球ボールに、俺の全てを懸けてきた。


まじで不思議。


何でこんな小さい球を、必死に追いかけてんだろ?

バカだよなー。


でも…そんなバカな俺も嫌いじゃない。

誇らしいぐらいに。
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