初恋の味はどんな味?
黒木君はそう言い残すと、私の腕の中からすり抜けていった。



さっきまで感じていた温もりは消えた。



階段を降りていく黒木君に私は"また"何も言えなかった。



屋上のときのように。



こぼれ落ちた涙は階段の床を濡らした。



誰もいなくなった階段は寂しく重い沈黙で包まれていた。
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