切恋~First Love~


「・・・・・・うーん・・・」


とは言ってみるものの、到底言えるものではない。


「南美が言いたくないなら無理には聞かないけど。でもあたし、また聞いちゃうと思う。お話に出てくるいい奴みたいに、黙って見守るってできないと思う・・・」


「・・・・・・ん」


できてしまった間が、夏の重たい空気と一緒にあたしにのしかかる。


どうにかしたくて、思いついた相槌を打つ。


・・・それがたったの一言ってどうなの、って感じだけど。


「あたし南美のこと気になるし、悩みなら全部聞いてあげようと思ってる。南美の・・・1番の友達のつもりだから」


佳耶は真剣に、あたしのことを考えてくれてる。


佳耶の気持ち、すっごく嬉しい。


・・・だけど、でも・・・待って・・・。


「・・・夏休み明け、もしかしたら言うかも・・・。気持ちの整理がついたら・・・」


曖昧な答え。


佳耶の目を見ることができない。


嘘だよ、全部嘘。


夏休みが明けても、多分言わない。


ううん・・・言えない。


気持ちの整理がついてからなんて・・・そんなのとっくについてる。


ついてるからこそ言えない。


佳耶達の反応が怖いから。


言ってもどうにもならないから。


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