切恋~First Love~


そしてこの関係になった直後のあたしもまた、こんな気持ちになるなんて思っていなかっただろう。


たとえそこに愛がなかったとしても。


一時だけの快楽だったとしても。


それでも、『今』のあたしは満たされている。


形だけの、恋人。


いや、恋人とは言えないかもしれない。


でも、もしかしたら、この関係になって正解だったのかもしれない。


なんていったって『今』、満たされてるのだから。


・・・そんなことを考えるあたしは、相当狂ってる。


♪~♪~♪


そんなあたし達の時間を引き裂くように、神崎涼のケータイが鳴った。


ケータイを見て顔を歪める、神崎涼。


「何・・・今から?・・・面倒臭い、また今度」


相手は声からして女の子のようだ。


「あ?・・・ん、ああ。・・・じゃあな」


それは、あたしと同じ関係の子からだよね?


あえて聞かなかった。


というより分かりきってることを聞く必要がなかった。


今はあたしが優先されたんだ。


・・・そう思うだけで十分だった。


「おい、帰る時になったら起こせ。送ってくから」


そしてそう言った後、神崎涼はベッドの中で寝てしまった。


ねぇ、そんなに優しくされたらあたし、壊れちゃうよ。


大好きすぎて、壊れちゃうよ。


だけどそれと同時に、他の女の子にも今みたいに接しているのかと思うと、複雑だった。


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