草食男子に恋をした!

それと同時に、

間宮くんが「あっ!」と声をあげた。


「信号!」


へっと思って目の前を見ると、横断歩道の青信号がちかちか点滅していた。


「走れ!」


その時、間宮くんがあたしの左手をつかんだ。

一瞬で体温があがる。



引っ張られるようにして白と黒のストライプの上を走る。

たった何メートルの距離なのに、ものすごく長く感じた。



横断歩道を渡りきると、運動不足のあたしは軽く息を切らした。



「あっ、ごめん」


ぱっと手を離す間宮くん。



あーあ、離れちゃった。

でもホッとした自分もいて、とにかくもう胸が騒いでいた。


くしくしっと鼻を触る間宮くん。

そしてハハッと笑った。



「息きれすぎ」


間宮くん。

もう無理。



もう我慢できない!



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