草食男子に恋をした!


その時、

あたしの気迫のせいか、手に持っていた教科書を入れていた紙袋の底が破れた。


音を立てて、中身が下に落下した。

ズドンって音が間抜けに響く。



「……」

「……」


しーんっとその場が静まり返った。



もおーーーっ!

何でこういう肝心な時に!



あたしは何だか自分の不運さに涙が溢れそうになった。


なんで?

こんな、こんな大事な場面でもあたしはどんくさくて、格好つかなくて、ほんとに神様は意地悪だ。

泣きたい気持ちで、しゃがみ込んで本を拾い出す。



すると目の前で、彼も同じように腰をおとして、しゃがみこんだ。

目線の高さが合う。


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