レクイエム

始まりの予感

「海賊だ!リヴァーズだぞ!」

「スピードを上げろ!急げ!奴らに捕まったら終わりだぞ!」


ここはエルメシュア大陸の内海・パール海。
首都・リゼンレーナへ向かう商船は混乱していた。
港まであともう少しというところで海賊達に目を付けられたのだ。

大きな帆いっぱいに1つ、描かれた盾がリヴァーズを主張していた。


「お頭ァ!奴ら進路を変えやしたぜ!」

「落ち着きな。あんな積み荷いっぱいの船があたし達から逃げられるわけないでしょう」


甲板のクルーに耳を傾け、凛とした声で彼女は諭す。
黒い髪を高い位置で1つに結い上げ、乱れるのも構わず波風に晒している。

目標の商船を見据え、瞬時に思考を巡らせた。


「出力70%。追い付いたら横付けして乗り込むわ!」

「アイアイサー!」

「出力70%!繰り返す、出力70%」


女頭の命令で、船内は慌ただしく走り回る。


みるみるうちに海賊船は商船へと追い付き、勢い良く側面に体当たりした。
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