【完】青春PLAYBALL!!
自己紹介の時、柚がとった行動。
それは手の平をみんなに見せたということだ。
ただの手の平じゃなかった。
女子の手の平とは思えない…たくさんの豆が潰れて皮膚が硬くなった、たくましい野球部の手の平だった。
「うそ…だろ?」
柚の前の席に座り、一番間近にいた俺は、驚きのあまり柚の顔を見て呟いてしまった。
「マジマジ!本当だよ。小・中ってずっと野球一筋です」
柚は俺の顔を見てにっこりと笑った。
まわりが一気にざわめいた。
「信じられない」とか、「女子だろ?無理だって」とか。
否定的な小さなざわめきが、教室の中に充満した。
それを敏感に感じ取った柚はこう言った。
「そんじょそこらの男子には負けません。絶対に……!」
怒りにも似たキリっとした表情がすごく男前に見えた。
その顔はすごく魅力的で、汐崎柚ってやつをもっと知りたいと思う理由としては、十分だった。
俺の野球部入部はそんな理由だったんだ。