純白の翼


「早乙女さん。」
メロンパンを彼女に放る。
それは、ゆっくりと弧を描いて、早乙女さんの前に落ちた。
「これ、好きなんだろ?」
そう言うと、彼女はバリっと袋を破り、もそもそ食べはじめた。
僕も、購買で買った焼きそばパンにかじりつく。
ソースとマヨネーズの香りが鼻をくすぐる。
早乙女さんは、放っておくと食事を忘れてしまうらしい事に気が付いたのは、最近だ。
今までは、三善が与えていたらしいが、こうして一緒に行動するようになってからは僕の仕事になっている。
はした金だし、財布の中身は問題ないのだが…。

無言でひたすら食べる彼女を見て思う。
…餌付け?
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