純白の翼


語り終わった風花に、僕は何を言いたいのか、何を言えばいいのか分からなくなった。
どんな言葉も薄っぺらくなるような気がして、心がすくむ。
君は、傷付く事すら失ってしまったのだろうけど。
それでも、一人の女の子の隣に居たいと僕は願う。
贅沢な願いだと分かってるさ。
「風花…。」
華奢な体を抱きしめる。
彼女が僕に攻撃するのは、幾つもの想いを失くしたから。
傷付けるすべしか知らない小さな女の子。
「泣くことは、覚えてる?」
「忘れた…」
「悲しい気持ちは。」
「分からない。」


「じゃ、僕は、温かい?」

「……うん。」


僕が人格を壊してしまったように、
君が心を失くして途方にくれているならば。
一緒に探してやるよ。
それが、友だろう?
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