Tears〜硝子細工の天使〜

「前にも言ったけど…

あおいのことはもう好きとか愛してるとか、そんな感情はないんだ。

確かに情はある。
でも、ただそれだけだ。

あおいが俺から離れてくれるのを待ってる。

俺からは言えないし、納得もしないんだ。


…かほちゃん…君のしたことなんて、可愛いもんだよ。

あおいは冷酷な人間でね…鬼だな」


そんなことを聞いたとて

じゃあ何故別れないの?


別れられないのは好きだからじゃないの?


かほにはそうとしか思えなかった。



するとよしきは、意を決したように語り始めた。


「あいつはね・・・・

孤独なんだ。

友達もいない。自分からは作ろうともしない。

極端に人間嫌い、人間不信なんだ。


父親が蒸発して、母親があんな風になって…

それが引き金で高校も辞めて…

家出してた時に知り合ったんだ・・・・


最初は上手くいってたし、楽しかったよ。

でも、人と上手くコミニュケーションが取れなくて

働きに出ても3日もしないで辞めてしまう。

そのうち、外にも出なくなってね・・・」



探偵が言っていた

《引きこもり》

という言葉がかほの脳裏に浮かんだ。
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