Tears〜硝子細工の天使〜
医師の判断は正しかったようで、激務に疲れた体と壊れた心は
薬をきちんと服用するようになると、みるみる快方に向かった。
ひと月もする頃には、必要に迫られれば
近所への買い物位はできるようになっていた。
ただそのかわり、化粧をするのも面倒で、すっぴんで何処でも行けるようになってしまった。
もう季節は夏休み・・・・
毎日昼近くまで寝て、ダラダラと生活をしていた。
その間、よしきに会いに行くこともできるようになっていた。
もちろん、すっぴんだ。
今までに何度となく見られているから平気だった。
その頃二人の関係は安定していた。
だが、かほはいつも、新しい相手を見つけ
この泥沼から逃げ出すことを、心の奥底で誓っていた。
「かほちゃんにそういう人が現れたら、僕は消えるから…
できたらできたって、ちゃんと言ってね。
邪魔はしないから…」
そんなよしきの言葉は、とても残酷にかほの胸に響いた。
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