冬が見せた幻


俺は、君を忘れたくない。


なのに…、なのに…



俺は君を思い出せなくなるのが怖い。


君が存在していなかったことになるのが怖い。

だって最近、君の写真や君に関することで
胸がざわつかないんだ。

俺の記憶は
まるで砂のように指の隙間からこぼれ落ちていってしまう。




…なら、しがみつこう。
君の記憶に。
俺のなかの記憶に。


そんなずるい事を俺は考えたんだ。

< 8 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop