あいつ



『彼女』という特別な存在じゃなくていい。



『幼なじみ』という特別な存在でいいんだ。



私じゃタケちゃんの彼女になれないから。



かっこよくて人気者のタケちゃんと私じゃ不釣り合いだから。



このままでいいんだ。




「…おばちゃんがさ、誕生日会したいって言ってたから早めに帰るか。冬也にもキレられちまうし。」




タケちゃんは元来た道を歩き出した。




「あ、タケちゃんっ!!」
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