手のひらに、桜
一枚目

最低な先輩



「――でありますの―――――保護者の皆様も、ご協力の――――。」




校長先生の長ったらしい挨拶が終ったのを感じながら、

あと10分、と時計を見る




もちろん、校長先生の挨拶なんか真面目に聞かない



というより、この入学式での挨拶なんか、

全部聞く気なんてない



やることといえば、

あくびが出ないように注意するだけ・・




この体育館で、挨拶を真面目に聞く子なんて、

本当にいるのだろうか



こっそりと周りを見渡してみたけれど、

みんな眠そうな顔をしている





「次は、校歌斉唱です―――新入生、在校生、立ちなさい」




あっ・・ヤバイ・・


ちょっと立つの遅れた




なんてことを考えているうちに、

伴奏が始まる


もちろん、

ほとんどの子がめんどくさそうにしている



約1名だけ、本当に根っからの真面目くんなのだろう


一生懸命、知らない校歌を歌おうと体でリズムをとっている


まるで歌えていないが・・





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