夜  話  
指先から皎によってもたらされる熱で、わたしの身体が熱くなってしまいます。


「……………皎。」


わたしは堪らずに皎の名を呼びました。


その声に皎はハッとしたように唇を離し、そしてわたしの手に自由を与えてくれました。


「……優しいあなたの上には、優しい風が吹きますように。」


わたしはそんな祈りの言葉と共に、立ち上がって皎の頬に口付けを返しました。


照れ臭そうにそれを受けた皎は、何かを思い出したかのような素振りでわたしの耳に顔を寄せました。


「その星見の身体からは、えも言われぬ程の清しく芳しい香りがしたそうだ。」
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