サクラナ
 次の日から吉野はサクラナ詣をやめた。

 決して、サクラナが嫌いになったわけではない。

 吉野はサクラナが好きだった。

 しかし、
 以前のようにサクラナが雲の上の人のようには思えなくなった。

 それに、
 サクラナが自分の気持ちに気づいていたかもしれないと思うと
サクラナと顔を合わせるのが恥ずかしかった。
 そんな理由で吉野はサクラナ詣をやめた。

 そうして、吉野がやったことといえば、
 時折、教室の窓から校庭で遊ぶサクラナを眺めるくらいであった。

 もちろん、
廊下などで彼女と顔を合わせた時はぺこんと頭を下げたが。
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