幼馴染みが担任になったら【番外編】
「どこ行くの?」
「いいから、いいから」
え〜、また『いいから』だけぇぇ……!
このキャッチボールにならない会話を何度続けたか。
5限目までみっちり授業を受けて、今は瑞穂の隣を首を傾げながら繁華街を歩いている最中のあたし。
さっきから行き先、多分、瑞穂の言う“イイ場所”がどこなのかを尋ねてるんだけど、なぜか教えてもらえない。
……いい加減、ストレスになるっつうの……
悠々と隣を歩く瑞穂を恨めしげに見つめながら、本日数十度目のため息をつく。
それにしても、お腹すいたよぉぉ…
あちらこちらからから漂ってくる食べ物の匂いや、仕事帰りのOL達の華やかな笑い声が、さらにあたしを陰気な気持ちにさせた。
“イイ場所”とかどうでもいいからさ、何か食べようよぉぉぉ!!
ちょうど焼けたらしいホテル食パンを宣伝してるパン屋のお姉さんを横目で見つけて、もう我慢ならなくなったあたしは、素直な意見を瑞穂に訴えようと口を開く。
「あのさ…」
「コッチだよ」
そんなあたしの声なんて聞こえてないかのように、瑞穂はあたしの服を引っ張りながら急に方向転換した。
「うわっ!?」
って、………えっ…!?ま、まさか……!!
その路地の行く先に、繁華街とはまた違ったきらびやかなネオンを見つけて、あたしはア然とした。
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