幼馴染みが担任になったら【番外編】
その後、気を落ち着かせるためにも、とりあえず順番にお風呂に入ろうってことになった。
そうと決まれば。
「えっと、着替え…着替え…」
「さっきから思ってたんだけどさ……」
トートバッグを漁るあたしに、後ろから耀太が話し掛けてくる。
「その荷物、どっから湧いて来たんだ?」
「なっ…!?失礼な…… 虫みたいに言わないでよ。
コインロッカーに預けてたの。
はい、耀太の着替え」
「あ、ああ…
っつうか、ずいぶん用意周到なんだな……」
あたしが渡した耀太の置きパジャマ(ウチに泊まった時用のね)のロンTを感心したようにびろ〜んと広げて、ケタケタ笑い出した耀太。
なんかバカにされてるみたいで、すんごいムカつくんですけどっ!
「瑞穂にアドバイスされたの!
絶対“萎える”からホテルに置いてある服は着るなって。
だからわざわざ耀太の分も持ってきてあげたのに……」
「そっか、そっか、ありがとな。
………ところで楓、『萎える』の意味わかって言ってる?」
「それぐらい知ってるわよ!
“気分じゃなくなる”って意味でしょ。
現国は得意だって前も言ったじゃんっ!」
憤慨するあたしに、
「まあ半分は当たってるか…」
と、わけのわからないことを呟きながら苦笑した耀太は、先入るな…とだけ残して、逃げるようにバスルームへと消えた。
半分って何よ、半分って!
そんな耀太に再び憤慨しながらも、あたしは自分の用意に取り掛かることにした。
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